世界一のヘリポート大国、日本

屋上ヘリポート

こんにちは!

空の交通デジタルプラットフォームを開発しているAirXです。現在はネットで簡単にヘリコプター遊覧予約ができるサービスや、ヘリコプターの貸切チャーターサービスを提供しています。

今回は、一部で流れている日本は世界一のヘリポート大国!」というウワサについて解説したいと思います。

世界一?日本のヘリポートの数

この情報は、ある意味正しく、正確な意味で言うと、正しくありません。

数年前、アメリカの報道大手のブルームバーグ社が、ある記事を公開したことが発端になり、一時期国内でも広く議論されることになりました。

ペニンシュラのような東京にあるヘリポート付きのビルは約80棟と、世界の都市で最多を誇るが、大半はめったに使われることはない。一つの理由は近隣住民への配慮だ。騒音規制や自治体や政府の規則により、東京上空では政府やテレビ局の関係者を乗せたヘリはほとんど飛ばない傾向にある。

(抜粋:ブルームバーグ.net「世界最多を誇る東京の屋上ヘリポート、ほとんど利用されない理由とは」2016.5.20掲載記事)

この記事によると、東京には世界有数のヘリポートつきビルが乱立しているため「数は多い」が、そのほとんどが使われていないということです。

「ヘリポートはヘリポートでしょ?使われていないってどういうこと?」

その謎を、この記事でご説明していきましょう。

使えるヘリポート、使えないヘリポート

実は、ひとことで”ヘリポート”と言っても、いろいろな種類があります。日本国内で、ヘリコプターが着陸できるヘリポートは、大きく3つに分類されます。

  1. 公共用ヘリポート
  2. 非公共用ヘリポート
  3. 場外離着陸場

簡単に説明すると、この3つに分類されるヘリポートは「使われているヘリポート」です。(それぞれのヘリポートの特徴については別の記事で説明したいと思います。)

では、そこに分類されないのが、「使われないヘリポート」ということになります。

使われないヘリポートとは?

どれだけアスファルトでしっかりした土台で作られていても、使えないヘリポートはたくさん存在します。周囲の地形が離着陸の基準を満たしていない場合や、屋上のヘリポートへの着陸機体の制限、周辺の住民の方からの反対など、理由は様々です。日本はアメリカよりも遥かに離着陸までの手間や申請が煩雑です。特に「場外離着陸場」は、会社毎に個別に、3ヶ月毎の更新が必要になるため、同じ場所でも利用可否がまばらです。

そのため、日本の一部の高層ビルの屋上にはヘリポートがありますが、申請自体はされておらず、民間ヘリは利用できないケースがほとんどです。一定以上の高さのビルには、ヘリポートを設置する義務があるため、

「こんなにたくさんの屋上ヘリポートがあるのに、なんで使えないの….?」

ということになるわけです。

屋上ヘリポートって使える?

結論から言うと、2020年時点で東京近郊に民間ヘリが使える屋上ヘリポートはありません。

まず、緊急時の上空でのホバリングのみ許可れている「Rマーク」の屋上ヘリポートがほとんどで、「Hマーク」のヘリポートはそこまで多くありません。

また、日本国内では、屋上ヘリポートへの着陸はWエンジン搭載の「双発機」のみ許可されており、国内でも運用コストの高い双発の機体はまだまだ少ない状況です。さらに、屋上へのヘリコプターの離着陸は危険視する意見も多く、ヘリポートを実際に運用しようと積極的な事業者が少ないのも一つの要因です。

まとめ

事実、日本にはヘリポートとして整備されている土地や、屋上に設置されているヘリポート はたくさんあり、世界でも水準は高いです。しかし、実際の運用がなされていて着陸などが可能なヘリポートは、アメリカなど他の航空先進国に比べてかなり少なくなっています。ドローンや空飛ぶクルマなど、空に関する可能性がどんどん広がっています。様々な法整備や、一般的な理解が進み、空が自由に使える日が1日でも早く来るといいですね!